ハーブ伝統医療薬





近年アメリカでも、ハーブ療法や食事療法、漢方医学療法など、各国に古代から伝わる民間療法を改めて見直し、オルターナティブ・メディスンとして医療に取り入れる動きがある。ここでは、最近注目されているノニやアヴァも含めて、古代からハワイで民間療法に用いられてきた植物をいくつかご紹介しておこう。ただし、どの植物も医療品として使う場合は、事前に信頼できる医師や治療師に相談することをおすすめ




カロ=タロ芋
Kalo (Colocasia esculenta)


カロ=タロ芋 またの名をハロア= 永遠の息吹き。名前が示するように、ハワイ人の祖先達が古代ポリネシアの島々から移住してきた時に運んできた物資の中でも「命の糧」として最も貴重とされていた食用植物。夕食時には、ウメケ(ポイ・ボール)を囲み、中に入れたポイを1人ずつ順番に食べることでアウマクア(先祖)に感謝し、オハナ(家族)が相互扶助の誓いを新たにする習わしだった。
 古代ハワイでは、300種類以上のカロが栽培されていたと言われるが、そのうちの約87種類が現在でも残っていて、種類によっては、根(芋)から葉まで余すところなく食用にされる。ルアウと呼ばれる葉は、ビタミンA、B、B2、C、カルシウム、鉄分、リン、チアミンなどを豊富に含んでいて、ラウラウにしたりココナツミルクで煮たりして食べるが、ほうれん草に似て蓚酸が強いので生では食べられない。根を蒸してペースト状にした主食のポイは、体内のPHバランスを保つアルカリ性炭水化物を豊富に含むヘルスフード。離乳食としても重宝がられている。
 民間療法としてのポイには、胸焼けを止める作用があるほか、ピア(クズウコン)と調合したものは下痢止めに、熟成したノニの実と混ぜたものは、できものの手当てに使われていたし、茎は傷口の出血止めや虫刺されの手当てに、つぶした葉と粗塩を混ぜたものは、キの葉で傷口に当てて化膿止めとしても用いられていた。


キ=ティの葉
Ki (Cordyline terminalis)



キ=ティの葉 ユリ科のこの植物には、魔よけの力があると信じられていて、現在でもレイ作りやパウ作り(伝統フラに用いられるスカート)、起工式や竣工式でのお払い、祭壇への供え物やラウラウなどの食物を包む葉として使われている。古代ハワイでは、ロノ神とフラの守護神ラカに捧げられた神聖な植物とされていた。
 民間療法としてのキの用途は、包帯や熱冷ましの湿布、カイロの役目をする焼き石を包むなどが主だが、葉を煎じた飲み物は、筋肉や神経の緩和剤として、若芽や葉を入れた熱湯の蒸気は、鼻炎や気管支炎の治療、花は喘息の手当にも用いられていた。キの用途には、もう一つ忘れてはならない「オコレハウ」の醸造がある。透明なブランディーに似た蒸留酒は、キの根を蒸して潰したものを醗酵させて造られていた。飢饉時には、キの根を蒸し焼きにしたものを非常食として食べていたという。


ノニ
Noni (Indian Mulberry: Morinda citrifolia)


ノニ 古代ハワイの民間療法の中でも最も重要な役目を果していた植物のひとつで、特に重病患者や高齢者に用いるべきとされていた。通常3mほどに成長する常緑樹は、成熟すると直径8cmほどになるパンの実に似た実を年を通してつける。実は緑色から黄色になり、完熟すると白色をおびてくるが、強烈な悪臭があり味もひどいので食用にはならない。
 実と果汁は、病状や症状によって糖尿病、心臓病、高血圧などに、ニンニクと調合したものは浄血剤として処方される。このほか、未熟の実は潰して粗塩と混ぜたものを切り傷や骨折の治療に、熟した実は油取り・美肌作りのスポンジ代わりに、化膿した傷やブドウ菌感染の治療にも使われる。肺病や関節炎、リューマチ、高齢に伴う様々な症状にも効果があると言われていて、ネズミを使った実験で免疫体を活性化する役目を果しているという報告もある。

アヴァ
=カヴァ、カヴァカヴァ
Awa, Kava. Kava Kava
(Piper methysticum Forst)


アヴァ=カヴァ、カヴァカヴァ 蔓状の枝に大型のハート状の葉をつけるアヴァは、4mくらいの高さにまで成長するが、鎮静剤として充分な効能を得るためには、少なくとも2?3年待たなければならない。アヴァは、神聖な植物として太平洋諸島で古代から儀式に使われてきた。現在でも、干した根を粉末にして水に溶いた飲み物が、南太平洋各島の社交の場で、ストレス解消の特効薬として一般に用いられているが、伝統の儀式としては、フィージのカヴァ・セレモニーが最も有名。
 葉・茎・樹皮・根と余すところなく民間医療薬として利用されるが、筋肉疲労、不眠症、悪寒、風邪、頭痛、衰弱、喘息などの肺や呼吸気管系の疾患、尿道炎、リューマチなどに効果があると言われる。
 ところで、ハワイ初のアヴァ・バーが、カパフル通りにオープンしたのでご紹 介しておこう。
ハレ・ノア Hale Noa
766 Kapahulu Av. TEL735-4292 Open: 月?土16:00-22:00、日休業

ククイ
Kukui (Aleurites moluccana)


ククイ キャンドルナッツ・ツリーの別名が示すように、果実から摘出したオイルは、石皿に入れたり、キの葉に含ませたりして灯明として使われていた。殻を取り去った白い果実を椰子の葉軸に何個も刺して砂や土を入れた容器に立て、次々に火を付けてキャンドルのように燃したとも言われる。黒・白・褐色のナッツは磨いて、レイやネックレス、ブレスレットなどに使われるが、褐色のナッツは最も貴重とされている。炒って粉にしたナッツは、粗塩や唐辛子と一緒に調味料としても用いられている。
 古代ハワイでは、樹皮・花・果実とも民間医療薬として利用されていた。白い花は、噛んだあと口内炎を治すために幼児に与えられたが、樹液も同様に直接指で患部に擦り込んで使われていた。果汁は、唇のひび割れ止めや口辺湿疹、軽い日焼けの治療に外用薬として用いられた。潰した果実や青い実の果汁は、他の植物と混ぜて下剤として使われていたし、焼いた果実を潰してノニと調合したものは、潰瘍などの皮膚病の治療に用いられていた。ククイとノニの葉を一緒に患部に巻いた上からタパで包んだ焼き石や粗塩を当てて、リューマチや打撲傷の治療にも使ったと言われる。


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